海外での経験を活かし外国の方を迎える体制

地元にも国内外の観光客にも日光の旨い酒を届ける

日光の良さを世界に届けると共に、世界を相手に酒造りをして日本酒の良さを知ってもらう。柔軟な発想で、これからの酒蔵のあり方を考える蔵元。

 

世界文化遺産を有する街 日光

戦国三英傑の一人、徳川家康公がまつられた神社『日光東照宮』は世界遺産『日光の社寺』のひとつ。8世紀以来、日光は男体山を中心とした山岳信仰の聖地であり、山麓や中禅寺湖畔には古くから社寺が営まれていた。徳川初代将軍家康の霊廟である東照宮が1616年に造営されて以来、徳川幕府の聖地となった日光。東照宮ができる前からあった『輪王寺』と『二荒山神社』を合わせて、平成11年に『日光の社寺』として世界文化遺産に登録された。

『日光の社寺』の中でもっとも有名な『日光東照宮』の境内には、国宝8棟、重要文化財34棟を含む55棟の建造物が並び、その豪華絢爛な美しさは圧巻。全国各地から集められた名工により、建物には漆や極彩色がほどこされ、柱などには数多くの彫刻が飾られている。

世界各国からこれらの世界遺産を見るためにたくさんの観光客が訪れる日光市は、日本の関東地方北部にある栃木県の北西に位置する。

東照宮から日光街道を真っすぐ東に約9㎞行くと、観光客が行きかう賑やかな場所に出くわす。通りから少し奥まったところに、どっしりとした2階建ての築130年はある明治時代の建物が見える。天保13年(1842年)の創業以来、日光山麓の清冽な名水を汲み、日光連山から吹き下ろす冬の寒気の中で酒造りを続けてきた渡邊佐平商店だ。

観光客の多い日光で渡邊佐平商店は、通年に渡り完全予約制で酒蔵見学や日本酒教室を実施している。仕込みの時期は実際に酒造りをおこなっている近くで見学させてくれるのが嬉しい。実際に年間約9,000名近くの見学があるという。

 日本語が分からなくても予定が合えば、七代目である代表取締役の渡邊康浩氏自らが英語で案内してくれる。「会話をしながら説明すると質問が飛んできます。疑問を解消できるので、お客様が喜んでくれますね」(渡邊氏)。

音声ガイドではなく、蔵元自らが実際に英語で説明をしてくれるのはめずらしいではないだろうか。また、スマートフォンなどでQRコードを読み込む英語案内もある。日光という場所柄、外国の方に喜ばれる取り組みだ。

 

良質な水とこだわりの米で造る純米酒を極める

渡邊佐平商店の酒造りに使われる水は、奥日光の入り口にある中禅寺湖から流れ出る大谷川の伏流水。ちなみに、大谷川はあの有名な神橋が架かる川である。渡邊佐平商店がある今市は、大谷川の扇状地で良質な地下水が豊富にあるのだ。

水質は軟水で、お店の入り口隣にある手掘りの古井戸からは酒造りに適した水がこんこんと湧き出ている。口当たりすっきりでそのまま飲んでも美味しく、お茶やコーヒーにも合う。近所の方のみならず、県内外からもお水を汲みに来る方がいるそう。

使う酒米は9割が栃木県産。特にこだわりを持って造る地酒『純米吟醸日光誉』は、地元今市の農家に特別に作ってもらっている。

「うちは純米酒を中心に造っています。9割以上が純米酒です。純米酒とは基本的にお米だけで造った酒です。もともとの日本酒は純米酒ですから、私は本来の日本酒を突き詰めていきたいです」(同)。純米酒に力を入れる渡邊佐平商店は、純米率栃木県一位を誇る。

渡邊佐平商店の造る酒の味は、すっきりとした辛口で米の旨みが感じられ、奥ゆきを楽しめる。良質な水とこだわりの地元の米が醸し出す味なのだろう。

昔ながらの手作業が多い酒造り。蒸した米を冷ますために布に広げるたり、うちわで扇いだりする。時間との勝負になる作業だが、しっかりと手で作業するところは手作業を守り、重たいものの移動など、機械の力を借りられるところは機械化していると話す渡邊氏。仕込みを小さくしてでも、良いものを造るために手造りにするという。守るべきところ、変えてもいいところを見極めているのだ。

 

『WILD RICE SPARKLING』のような、新しいお酒にも挑戦する渡邊佐平商店。古代米で造った赤い酒は、まるでワインのよう。「造れないか?と頂いたお話でしたが、こんなお酒も造れるんだよと、遊び心を持って造りはじめた銘柄です。その年の古代米の出来で、酒の色が変わりますので面白いですね」(同)。造る側の心意気は変えてはいけないものとする渡邊氏だが、芯を持った上で遊び心を加え、楽しみながら造ることで、飲む側も楽しんでもらえると考える。

他にも、渡邊氏がコンセプトを考えて杜氏が具現化する。意見を言い合いながら目指すものをすり合わせて形にしていく酒造り。「私は蔵元杜氏ではないので、少し視点が違うところにあるのだと思います。造るのは杜氏に任せていますね」(同)。そんな渡邊氏だからこそ面白い発想がでてくるのではないだろうか。

取り組みは酒造りだけではない。酒造りがおこなわれない夏季には施設内でジャズコンサートの開催予定がある。音響が良いそうで、歴史を感じながら聴く音楽は格別なものになりそうだ。

 

日光の地酒を世界に届ける

日光という世界的に有名な観光地にて地酒を造ってきた渡邊佐平商店。日光には国内外からの観光客が絶え間ない。学生時代に留学経験があり、その後も海外での経験が豊富な渡邊氏。「外国の方を迎える体制はあります。インバウンド消費と輸出を絡めて海外への需要に応えていきたいです」(同)。

 

世界で和食が受けている。和食に合う日本酒の可能性が見えてきた。しかし、人気が出てきたとはいえ、ワインの2~3%の消費量だ。まだまだこれからの市場なので、世界の方に「日本酒は大したことない」と思われないような酒造りをしなければならないと、意気込みを見せてくれた。「純米酒をベースに、より魅力的に日本酒をしっかりとアプローチしていきたいですね」と渡邊氏は語る。

日光の良さを世界に届け、世界を相手におこなう酒造り。「これからの時代、酒蔵を担う人達が海外を飛び回るようになれば面白いと思いますし、モチベーションにもなるのではないか」(同)と、これからの酒蔵像を楽しそうに教えてくれた。渡邊佐平商店の発想の豊かさは、酒造りの域を出て留まることを知らない。

 

 

株式会社渡邊佐平商店

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