日本の風土と文化が醸すワイン

原料から一貫生産 世界で評価される正統派ワイナリー

日本ワインを世界の舞台へと導くのは、「風土に合ったぶどうで造るからこそ、おいしいワインができる」という想い。目指すのは日本最高峰の原料作りだ。地域とも想いを一つに研鑽を重ね、ここにしかないワインを世界に発信する白百合醸造の挑戦は、これからも続いていく。

 

日本を代表するワインの産地 甲州市勝沼町

日本一高い富士山を擁する山梨県。甲府盆地の南東部に位置する甲州市勝沼町は、日照時間が長く水はけの良い扇状地で、昼夜の寒暖差もあることから良質なぶどうを栽培できる地域として知られる。ワイナリー数全国第1位の山梨県の中でも特にワイナリーが多く集まる、日本を代表するワインの産地だ。

周囲にぶどう畑が点在するのどかな県道沿いに、ひときわ映える白で統一された白百合醸造株式会社の社屋。ぶどう棚に絡まる葉の緑と外壁の白のコントラストが美しく、田園風景と調和した南仏を想起させる洗練された佇まいだ。

 

白百合醸造株式会社は、1938年に32軒のぶどう栽培農家とともに白百合葡萄酒共同醸造組合として創業。代々受け継がれる家族経営のもと、自社管理畑や信頼できる地元の契約農家との繋がりを大切に守りながら、原料のぶどう栽培から醸造まで一貫したワイン造りを行っている。

 

風土に合ったぶどうこそが、ワイン造りの第一条件

「ワイン造りはシンプルで、原料となるのはぶどうの搾り汁のみ。ビールやウイスキーのように水を加えることはありません。だからこそ、ぶどうの品質が大切なのです」と語るのは、代表取締役の内田多加夫氏。まだ日本人が訪れることのなかった頃にフランスへ留学し、醸造技術を高めるとともに、「ワインとは土地柄や文化が息づくものである」との考えのもと、気候風土に合ったぶどう作りを極めることで、世界から評価されるワイン造りを成功させた。

白百合醸造が展開するワインブランド「L’ORIENT(ロリアン)」はフランス語で「東洋」を意味し、ヨーロッパに劣らぬ高水準のワイン造りを目指して名付けられたもの。

 

白百合醸造がぶどう栽培で目指すのは、日本最高峰のワイン原料であること。社屋の周りに約3ヘクタールの自社畑を所有し、風土に合う甲州やマスカットベーリーAをはじめ、欧州系の品種も栽培。気候や土壌の研究を重ね、年ごとに変化する条件に応じて最適な栽培方法を構築している。

「勝沼では午後になると、山を下り、川を渡ってきた風がぶどう棚の下を吹き抜けます。溜まった湿気が飛ばされて、湿度や病気に弱いシャルドネのような品種もおいしく栽培できる土地柄があるのです」と語るのは常務取締役の内田圭哉氏。

圭哉氏は東京の大学を卒業後、現社長である父・多加夫氏と同様にフランスへ留学し、フランス国家資格上級技術者免許栽培醸造責任者を取得。フランスの大学院で研究を重ねていたが、新型コロナウィルスの影響により帰国した。現在は白百合醸造で栽培・醸造、営業の業務全般に携わり、現代科学を取り入れた研究をもとに芸術的な想いやセンスまでも表現できるような、次世代を見据えたワイン造りに精力的に取り組んでいる。 

「DWWA」や「インターナショナルワインチャレンジ」など、世界のワインコンクールで数々の賞を受賞、国内外で高く評価されるロリアンワイン。2023年5月には、G7広島サミットのワーキングランチで「ロリアン 甲州Vigne de Nakagawa 2021」が提供された。原料となるぶどう栽培を手掛けた農家の中川さんの名前を冠したワインだ。

「おいしいぶどうを収穫できるまでには、植えてから30年もの時間がかります。白百合醸造では代々畑を守り継いできた農家さんとの関係を大切にしながら、『この土地で世界に負けないワインを造る』という想いを一つに共に研究を重ね、良質なぶどうの栽培に取り組んでいます」(圭哉氏)

 

 

「フランスでもアルザスにはアルザスのワイン、ボルドーにはボルドーのワインがあり、それぞれに違った個性があります。フランス人はワインをその土地に暮らすアルザシアンやボルドレーズの気質に例えて表現したりするのですが、日本のワインにも同じように、しとやかな”大和撫子”といった日本人らしさや気質が感じられると思うのです」(圭哉氏)

 

 

日本のワインの繊細な味わいを感じ取ってほしい

産業としての日本のワイン生産は、明治時代初期に山梨で始まった。当時、ワイナリーでは日本酒造りの技術を活かしたワイン造りを行い、ろ過機や酵母なども日本酒に使用していたものを活用したという。

「日本では、伝統ある日本酒の奥深い発酵技術をベースにワイン造りを行っているため、外国の方からは『日本のワインには日本酒のような吟醸香が感じられる』と言われることがあります。このような日本のワインの繊細さをぜひ感じ取ってもらいたいですね」(圭哉氏)

 

「和食」は、2013年にユネスコ世界無形文化遺産に登録された。世界各国に広がりを見せる日本の食文化にとって日本酒や日本ワインは欠かせない存在であり、日本ワインを代表する甲州は日本の伝統的な“だし文化”と相性が良く、マスカットベーリーAは醤油・砂糖・みりんなどを用いた甘じょっぱいソースに良く合うとのこと。

 

「ブルゴーニュのレストランではブルゴーニュのワインがリストの一番上にありますが、日本のレストランでメニューを開くと、ブルゴーニュのワインがリストの一番上にあるのです。日本のレストランでは、日本のワインや日本酒がメニューの一番上に載るようになってほしいし、世界中にある日本をテーマとしたレストランのワインリストの一番上に、うちのワインが載るようになりたい。それが一番の目標です」と語る圭哉氏。

 

白百合醸造では、農家さんやスタッフが苦労して作っているぶどうを最後まで使いたいという想いから、ぶどうの搾りかすを使った蒸留酒造りにも取り組む。ワインで使用した樽を削り直し、焼き直してグラッパの樽として使うなど、勝沼の土地を愛し、ワインに真摯に向き合いながら、更なる高みを目指し続けるワイナリー。その純粋なひたむきさこそが、地元に愛され、世界が認めるワインを造るのだ。

 

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